潮騒

混迷の果て

マサキとなんて会えなかった。


何度か連絡はあったものの、忙しいから、調子が悪いから、と、何かと理由をつけては会うことを拒んでいる。


会いたくないわけはない。


けれど、未だ答えは出せていなかった。


レンからのメールもまた、曖昧なままに受け流したっきり。


でもさすがに、宙ぶらりんの状態ももう、そろそろ限界なのかもしれないけれど。



「ルカさーん!
アフターないならこれから飲みにでも行きません?」


美雪の誘いだって何度目だか。



「ごめん、今日は真っ直ぐ帰るよ。」


「って、この前も同じこと言ってたじゃないですかぁ!」


「でも飲み行くような気分じゃないし。」


実際、気を抜けば仕事さえも手に付かなくなりそうな自分自身。


平静を装うことだけで精一杯で、プライベートでは誰とも会話すらしたくはない。


目を瞑り、耳を塞いで過ごしているような毎日だった。



「レンだって、何かどうしてもルカさんと話したいことがあるって言ってたし。」


「謝っといてよ、アイツにも。」


「そんなのあたしに頼まないでくださいよー!」


それでも美雪を振り払い、あたしは店を後にした。


世間はすっかり春めいてしまい、飲み会なんかも増えたためか、こんな時間でも街はスーツ姿のサラリーマン達で溢れている。


吐きそうなほどの人の群れ。

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