潮騒
「情報屋のてめぇが何の目的でルカのこと騙してるのか知らねぇけど、ふざけんなよ!」


「………」


「それともまさか、本気だなんて言うんじゃねぇだろ?」


そして彼は鼻で笑いながら、



「冗談じゃねぇよ、もうルカに近付くな!」


その、叫びにも似た言葉だけが、部屋に消える。


降り出した雨音は静かに響きながら、あたし達の間にある熱を奪っていた。


レンは自らを落ち着けるように息を吐く。



「てめぇら親子にわかんのかよ、未だに苦しんでる被害者家族の気持ちってやつが!」


「………」


「あの瞬間に全部狂ったんだよ、ルカの人生返してやれよ!」


声を震わせながらに彼は言う。



「だから俺は、そんなルカが選んだ相手なら、例え犯罪者だろうと聖職者だろうと何だって良かったんだ!」


「………」


「けど、今度だけは違ぇんだよ!」


レンはマサキを揺すり続ける。


何度も何度も、まるでナイフのように尖った言葉を浴びせながら。



「少しでも詫びる気持ちがあるならユズルくんのこと生き返らせろ!」


ずっと共に生きてきた、レン。


あたし達は一番近い場所で、悲しみや苦しみを分け合ってきたね。



「出来ねぇだろうが、人が死ぬってそういうことなんだよ!」

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