潮騒
そう言って煙草を咥えた。
あたしはその場に佇むことしか出来ず、流れる沈黙はひどく重いものだ。
「俺の親父が犯した罪は、紛れもない真実だから。」
「………」
「だから俺は、お前に何を言われたってしょうがねぇって思ってるよ。」
心が握り潰されたように痛い。
あたしは顔を俯かせ、唇を噛み締めた。
「あたしずっと、マサキが悪いことしたわけじゃないのに、って思ってた。」
「………」
「けど、レンをこれ以上悲しませるようなことだけは出来なかったから。」
言い訳染みていると、自分でも思う。
言った後で、堪え切れなくなった涙の一筋が頬を伝った。
「…どうしてあたし達が、こんなっ…」
瞬間、ふわりと包まれた体。
「ごめんな、ルカ。」
振り絞るように呟いたマサキを、あたしは振りほどけなかった。
忘れかけていた香りが鮮明になり、今まで過ごしてきた日々が蘇る。
「ルカ、ごめん。」
でも、と言葉を切った彼は、
「でもどうしても俺は、お前のこと忘れられなくて。」
あたしはその場に佇むことしか出来ず、流れる沈黙はひどく重いものだ。
「俺の親父が犯した罪は、紛れもない真実だから。」
「………」
「だから俺は、お前に何を言われたってしょうがねぇって思ってるよ。」
心が握り潰されたように痛い。
あたしは顔を俯かせ、唇を噛み締めた。
「あたしずっと、マサキが悪いことしたわけじゃないのに、って思ってた。」
「………」
「けど、レンをこれ以上悲しませるようなことだけは出来なかったから。」
言い訳染みていると、自分でも思う。
言った後で、堪え切れなくなった涙の一筋が頬を伝った。
「…どうしてあたし達が、こんなっ…」
瞬間、ふわりと包まれた体。
「ごめんな、ルカ。」
振り絞るように呟いたマサキを、あたしは振りほどけなかった。
忘れかけていた香りが鮮明になり、今まで過ごしてきた日々が蘇る。
「ルカ、ごめん。」
でも、と言葉を切った彼は、
「でもどうしても俺は、お前のこと忘れられなくて。」