潮騒
彼の寝顔を見つめながら、少し乱れたその髪の毛に手櫛を通した。


失ったものの数を数えながら歩んだ道の中で、出会った人。


マサキとあたしは正反対の場所に立ちながらも、同じ思いを抱えていたね。


許すとか許さないとかじゃない。


これからあたし達ふたりがどうなるのかもわからない。


けど、でも、一緒に生きていたいと思った、初めての人だから。




無意識のうちに、チェストに入れておいた過去の写真を取り出して、



「ごめんね、レン。」



ごめんね。



「お兄ちゃんも、ごめんなさい。」



それでもあたしは
やっぱりマサキを選びたいの――。








< 215 / 409 >

この作品をシェア

pagetop