潮騒
彼女の真実
美雪の話はこうだった。
先日からずっとレンに元気がなく、だから今日は景気付けにふたりでデートをしようと約束していたそうだ。
が、彼は約束の時間になっても現れず、携帯に掛けてもすぐに留守電に切り替わってしまう。
嫌な予感がした美雪は、レンの家に向かった。
鍵は開いていて、そこで目にしたのは、手首から血を流して倒れている彼の姿。
急いで救急車を呼び、レンは病院に搬送されたらしい。
「とにかく落ち着けよ。」
病院に向かう車内、ガタガタと震えるあたしにマサキが声を掛けるが、それすら耳を通り過ぎる。
あの時の手首の痛みで、どうして気付けなかったのだろう。
もっと早く、ちゃんと話していれば、こんなことにはならなかったかもしれないのに。
いや、それよりも、レンは何で死のうとしたのだろう。
あたしの所為?
「…だって、レンが死ぬかもしれないなんてっ…」
「でもまだ死んだわけじゃねぇだろ!」
一喝され、びくりと肩が上がる。
それでもあたしは、レンまで失ったらもう、生きてはいけない気がした。
ずっとふたりで何もかもを乗り越えてきたのに。
レンとの血の繋がりだけが、あたしの唯一の支えだったのに。
なのに、どうしてこんなことになったのだろう。
車は病院の駐車場に停車する。
先日からずっとレンに元気がなく、だから今日は景気付けにふたりでデートをしようと約束していたそうだ。
が、彼は約束の時間になっても現れず、携帯に掛けてもすぐに留守電に切り替わってしまう。
嫌な予感がした美雪は、レンの家に向かった。
鍵は開いていて、そこで目にしたのは、手首から血を流して倒れている彼の姿。
急いで救急車を呼び、レンは病院に搬送されたらしい。
「とにかく落ち着けよ。」
病院に向かう車内、ガタガタと震えるあたしにマサキが声を掛けるが、それすら耳を通り過ぎる。
あの時の手首の痛みで、どうして気付けなかったのだろう。
もっと早く、ちゃんと話していれば、こんなことにはならなかったかもしれないのに。
いや、それよりも、レンは何で死のうとしたのだろう。
あたしの所為?
「…だって、レンが死ぬかもしれないなんてっ…」
「でもまだ死んだわけじゃねぇだろ!」
一喝され、びくりと肩が上がる。
それでもあたしは、レンまで失ったらもう、生きてはいけない気がした。
ずっとふたりで何もかもを乗り越えてきたのに。
レンとの血の繋がりだけが、あたしの唯一の支えだったのに。
なのに、どうしてこんなことになったのだろう。
車は病院の駐車場に停車する。