潮騒
あの日から2週間後、レンと美雪は揃って我が家へとやってきた。
レンの手首の包帯は消えたけれど、でもまだ痛々しい傷が残ったままだ。
けれどそれは、何故だか彼の決意の証のようにも見えた。
「まだこれからのことを具体的に決めたわけじゃないんだけどさ、でもひとつひとつ片付けていこうと思って。」
そう言ったレンの顔は晴れ晴れとしたものだった。
「俺、今月で店辞めることにしたんだ。」
「…え?」
「夜から抜けて、ちゃんと昼の仕事して稼ごうと思ってる。」
やっぱり償いは汚い金でするべきじゃない、マクラするくらいなら寝ずに仕事を掛け持ちする方を選ぶよ。
なんて言う彼は、実家に戻ることを決めたらしい。
ふたりの手の平はしっかりと繋がれていた。
「そんで生活が落ち着いたら、美雪とのことも考えようと思って。」
今度は彼女の方が横から口を挟んだ。
「あたしも今月で退店するって、昨日オーナーに話しました。」
「美雪まで辞めんの?!」
「はい。
レンと話して、そう決めたんです。」
当分は知り合いが営むスナックでバイトをしながら、将来のことを改めて考える予定なのだと言う。
確かに稼げるとはいえ、彼女はノルマだらけのファンタジーで神経を尖らせて働くべきではないのだ。
少し寂しくなるけれど、でもふたりが選んだ道ならば異存はない。
レンの手首の包帯は消えたけれど、でもまだ痛々しい傷が残ったままだ。
けれどそれは、何故だか彼の決意の証のようにも見えた。
「まだこれからのことを具体的に決めたわけじゃないんだけどさ、でもひとつひとつ片付けていこうと思って。」
そう言ったレンの顔は晴れ晴れとしたものだった。
「俺、今月で店辞めることにしたんだ。」
「…え?」
「夜から抜けて、ちゃんと昼の仕事して稼ごうと思ってる。」
やっぱり償いは汚い金でするべきじゃない、マクラするくらいなら寝ずに仕事を掛け持ちする方を選ぶよ。
なんて言う彼は、実家に戻ることを決めたらしい。
ふたりの手の平はしっかりと繋がれていた。
「そんで生活が落ち着いたら、美雪とのことも考えようと思って。」
今度は彼女の方が横から口を挟んだ。
「あたしも今月で退店するって、昨日オーナーに話しました。」
「美雪まで辞めんの?!」
「はい。
レンと話して、そう決めたんです。」
当分は知り合いが営むスナックでバイトをしながら、将来のことを改めて考える予定なのだと言う。
確かに稼げるとはいえ、彼女はノルマだらけのファンタジーで神経を尖らせて働くべきではないのだ。
少し寂しくなるけれど、でもふたりが選んだ道ならば異存はない。