潮騒
「お互い新しい道に進んで、もちろん色んなことを解決させて、それでもふたりが今と同じ気持ちでいたなら、その時は…」


そこまで言い、レンと美雪は顔を見合わせてはにかんだ。


見ているこっちが居辛くなってしまうけれど。



「俺、今度は胸を張って宮城に会いたいんだ。」


「生きてる限り、時間は無限にありますからね。」


生きてる限り時間は無限にある、か。


美雪の何気ない、でも力強い言葉が、不思議と胸に響いた。


あたしとお母さんも、例えどんなに時間が掛かっても、話をしなくちゃならないね。



「負けんじゃないわよ。」


頷いた美雪は、



「それであたし、すごく勝手なんですけど、もう一度ちゃんとルカさんと友達になりたくて。」


「へ?」


「…ダメですか?」


ダメじゃないよ、とあたしは言った。


美雪はその瞬間に安堵したような顔になったので、思わずこちらまで笑ってしまう。



「じゃあ、ちょっと早いけど俺らの門出に乾杯しようぜ!」


と、人の家の冷蔵庫から勝手にビールを取り出したレンに、



「ちょっと、何でそれにあたしまで巻き込まれなきゃならないのよ!」


「細かいこと言うなよなぁ。」


「ふざけんな、馬鹿!」

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