潮騒





きっとそれは夢。


なのにお兄ちゃんの声が
確かに聞こえた気がしたんだ。





「耳を澄ましてごらん。
 
 世界はこんなにも
 悲しみに満ちているよ。

 ほらまた、
 泣き声が聞こえるでしょ?」




ねぇ、お兄ちゃん。


あたしはもうこれ以上
誰かを失いたくなんてないの。





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