潮騒

「ルカさん、何か痩せましたよね。」


久々に会った美雪にまでも、そんな風に言われる始末。


あたしは苦笑いしか返せない。


お昼時のカフェは、ＯＬさんや学生さんの談笑に溢れていた。



「それより新しい仕事、どうするんですか？」


「お母さんの遺品整理とかも終わってないし、まだあんまり考えてないかな。」


マサキのことに加え、迫りくる四十九日法要で再びお父さんに会わなければならないという憂鬱さ。


今は目先のことで手一杯だ。


美雪は少し言いにくそうな様子で、



「レンからちょっとだけ聞きましたけど。」


と、上目がちにあたしを見た。



「ルカさんの背負ってきた過去、何かあたし悲しいです。」


「別に同情ならいらないから。」


「そういうのじゃなくて。
人はいつも誰かを傷つけないと生きられないのかな、って。」


どうしてこんなにも、気分が沈んでしまうのだろう。


あたしはそれを振り払うようにして、



「アンタこそ、新しい生活はどうなの？」