潮騒
「どんなに行くところがなくて、レンに言われたからって、あたしのところに来るなんてどうかしてんじゃないの?」
「………」
「結局は憎んでる腹違いの姉を頼るなんて、信じられない。」
冷たく吐き捨てたあたしの言葉に、けれども彼女は顔を俯かせた。
やっぱりその瞳には涙が混じる。
しばしの沈黙の後、重い口が開かれた。
「聞いたの、本当のこと。」
本当のこと、というのは、自分の両親の馴れ初めだろうか。
カオルちゃんは顔に嫌悪を滲ませながら、
「不倫だなんて、気持ち悪いよ。」
「………」
「そんなんで生まれたあたしは、もっと気持ちが悪いけど。」
顔を上げた彼女は、
「だからお父さんもお母さんも、もういらない。」
確かに不倫は純愛なんかじゃない、けれどすべてを否定することでもない。
冷静になった今なら、思うことがある。
お父さんだってお兄ちゃんの死に胸を痛め、なのに支え合うべき妻であるお母さんは自分の殻だけに閉じこもっていた。
だからあの頃のお父さんを本当の意味で支えていたのは、不倫相手であるカオルちゃんお母さんだったのではないか、と。
「あたしはひとりでだって生きてやるんだから!」
「………」
「結局は憎んでる腹違いの姉を頼るなんて、信じられない。」
冷たく吐き捨てたあたしの言葉に、けれども彼女は顔を俯かせた。
やっぱりその瞳には涙が混じる。
しばしの沈黙の後、重い口が開かれた。
「聞いたの、本当のこと。」
本当のこと、というのは、自分の両親の馴れ初めだろうか。
カオルちゃんは顔に嫌悪を滲ませながら、
「不倫だなんて、気持ち悪いよ。」
「………」
「そんなんで生まれたあたしは、もっと気持ちが悪いけど。」
顔を上げた彼女は、
「だからお父さんもお母さんも、もういらない。」
確かに不倫は純愛なんかじゃない、けれどすべてを否定することでもない。
冷静になった今なら、思うことがある。
お父さんだってお兄ちゃんの死に胸を痛め、なのに支え合うべき妻であるお母さんは自分の殻だけに閉じこもっていた。
だからあの頃のお父さんを本当の意味で支えていたのは、不倫相手であるカオルちゃんお母さんだったのではないか、と。
「あたしはひとりでだって生きてやるんだから!」