潮騒
砂上の楼閣
あたしはマサキのことが好きなのだろうか。
なんて、愛も恋もよくわからないくせに、そんな疑問符ばかりが取り留めもなく頭の中に浮かんでは消える。
連絡先は知らないから、当然だけどあれ以来会ってなどいないし、あたしの日常にだって変化はない。
今日もぎしぎしとうるさく軋む、安いホテルのベッドのスプリング。
客はあたしの体を舐め回しながら、臭い息を吐き掛けてきた。
「ルカを抱けると思うと、生きる糧になるよ。」
そんな言葉が放たれるが、馬鹿馬鹿しいとあたしは、滑稽な目で見つめてしまう。
こんなにも汚れきっている体なのに。
金のためならば誰にでも抱かれるあたしなのに、くだらない。
それでも嘘臭く喘ぎ声を漏らしながら感じたフリをしてやると、彼は悦に浸るような顔。
「綺麗だよ、ルカ。」
耳障りな台詞を聞きながら目を瞑ると、今でもまだまぶたの奥にはっきりと焼き付いて残っている、あの日の残像。
あまりにも美しかった高みからの景色――マサキと見たものだ。
どうして泣いてしまったのかなんて今でもよくわからないけど、でも、綺麗なのはあたしじゃない。
マクラをやめることは出来なかった。
償わなければならないんだ、お母さんに。
あたしの所為で死んでしまったお兄ちゃんのために、せめて出来るのは、お金を用意することだけだから。
例えそれがこの先ずっとだとしても、逃げようだなんて思わない。
客はあたしの腹部に白濁とした欲望を吐き出した。
なんて、愛も恋もよくわからないくせに、そんな疑問符ばかりが取り留めもなく頭の中に浮かんでは消える。
連絡先は知らないから、当然だけどあれ以来会ってなどいないし、あたしの日常にだって変化はない。
今日もぎしぎしとうるさく軋む、安いホテルのベッドのスプリング。
客はあたしの体を舐め回しながら、臭い息を吐き掛けてきた。
「ルカを抱けると思うと、生きる糧になるよ。」
そんな言葉が放たれるが、馬鹿馬鹿しいとあたしは、滑稽な目で見つめてしまう。
こんなにも汚れきっている体なのに。
金のためならば誰にでも抱かれるあたしなのに、くだらない。
それでも嘘臭く喘ぎ声を漏らしながら感じたフリをしてやると、彼は悦に浸るような顔。
「綺麗だよ、ルカ。」
耳障りな台詞を聞きながら目を瞑ると、今でもまだまぶたの奥にはっきりと焼き付いて残っている、あの日の残像。
あまりにも美しかった高みからの景色――マサキと見たものだ。
どうして泣いてしまったのかなんて今でもよくわからないけど、でも、綺麗なのはあたしじゃない。
マクラをやめることは出来なかった。
償わなければならないんだ、お母さんに。
あたしの所為で死んでしまったお兄ちゃんのために、せめて出来るのは、お金を用意することだけだから。
例えそれがこの先ずっとだとしても、逃げようだなんて思わない。
客はあたしの腹部に白濁とした欲望を吐き出した。