潮騒
翌日の空は、太陽が顔を出し、朝露が世界をきらきらと染めていた。


女同士とは不思議なもので、今までどんなに嫌い合っていたとしても、一度意気投合してしまえば話は尽きない。


一晩中くだらないお喋りをし、あたしは少し寝不足だった。


ふたりで朝食を終え、さてどうしようかと思っていた時のこと、ピンポーン、と鳴り響いたチャイムの音。


誰だろうとドアを開けて驚いた。



「…え?」


お父さんと、知らないおばさん――きっとカオルちゃんのお母さんだろう。



「カオルがここにいるって聞いて。」


お父さんは目の下にくまを作り、少し焦った様子でそう言った。


するとその後ろからひょこっと顔を出したのは、レン。



「いや、カオルちゃんの居場所を問い詰められてさ、俺も隠せねぇじゃん?」


本当に、調子の良い男だ。


あたしが呆れ返っていると、ちょうどのタイミングで、何事なのかとリビングからカオルちゃんがやってきた。


そして自分の両親を確認し、目を丸くする。



「…どうして、お父さんとお母さんが…」


けれど、そんなカオルちゃんに飛び付いたお父さんは、



「良かったよ、無事で。
一晩中、お前のことを捜し歩いていたんだ。」


おばさんは横で目に涙を溜めていた。


やっぱり話に聞いた通り、彼女は両親から愛されているのだ。

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