潮騒
「そんなこと言って、いつも頭ごなしに否定するばっかりじゃない!」


「………」


「あたしの気持ちなんか全然考えてないくせに!」


カオルちゃんのそんな言葉にさえ、お父さんは、



「考えてなかったら、心配なんてしないさ。」


彼女は唇を噛み締める。


あたしはその様子にまた肩をすくめ、



「わざわざ迎えに来てくれたんだしさ、帰ってちゃんと話しなよ。」


背中を押してやる。



「強がってたって何も解決しないんだから。」


「………」


「将来の夢とか、言わなきゃ伝わらないこともあるでしょ、ほらぁ!」


頷くお父さんと、やっぱり涙目のおばさん。


カオルちゃんは少し戸惑いながらも一歩を踏み出した。



「わかったよ。
あたしちゃんと話してみるから。」


「うん。」


「それで、前に進むよ。」


その瞳は、やっぱり力強いものだ。


だからきっと大丈夫なのだろうと、あたしは思う。

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