潮騒
翌日の昼、久しぶりに街へとやってきた。
レンからの電話で、飯でも食おうよ、と誘われたから。
昼間から焼肉屋を指定する彼の胃袋にはやはり驚かされるが。
「あれれ、ルカちん食わねぇの?」
彼はホルモンをつつきながら聞いてきた。
「あたしはアンタみたいに焼肉ラブじゃないからね。」
「ははっ、知ってるけど。」
「なら誘うなっつの。」
「良いじゃん、良いじゃん。
プータローなんだし暇してんだろ?」
「アンタの相手するほど暇ではないけどね。」
なのに、レンがそれを気にする様子はない。
あたしはため息混じりにメニュー表を眺めながら、サラダを探した。
肉の焼ける音に紛れて続く沈黙。
先にそれに耐えられなくなったのは、あたしの方だった。
「で、何かあった?」
これだけ長い付き合いだ、顔色ひとつでそれくらいはわかる。
鋭いねぇ、と呟いたレンは、少し困った様子で箸を置き、頬杖を突いてから、
「まぁ、大したことじゃないんだけどさ。」
赤黒くなっていく、網の上の肉の色。
「うちの両親、離婚するかもしれないんだってさぁ。」
レンからの電話で、飯でも食おうよ、と誘われたから。
昼間から焼肉屋を指定する彼の胃袋にはやはり驚かされるが。
「あれれ、ルカちん食わねぇの?」
彼はホルモンをつつきながら聞いてきた。
「あたしはアンタみたいに焼肉ラブじゃないからね。」
「ははっ、知ってるけど。」
「なら誘うなっつの。」
「良いじゃん、良いじゃん。
プータローなんだし暇してんだろ?」
「アンタの相手するほど暇ではないけどね。」
なのに、レンがそれを気にする様子はない。
あたしはため息混じりにメニュー表を眺めながら、サラダを探した。
肉の焼ける音に紛れて続く沈黙。
先にそれに耐えられなくなったのは、あたしの方だった。
「で、何かあった?」
これだけ長い付き合いだ、顔色ひとつでそれくらいはわかる。
鋭いねぇ、と呟いたレンは、少し困った様子で箸を置き、頬杖を突いてから、
「まぁ、大したことじゃないんだけどさ。」
赤黒くなっていく、網の上の肉の色。
「うちの両親、離婚するかもしれないんだってさぁ。」