潮騒
確かにあたしがしたことは悪いことかもしれないけれど、でもどうして責められなければならないのか。


ぐっと唇を噛み締めた。



「だって…」


髪の毛から滴る水滴が、まるで涙のように頬を伝う。



「だって、心配してるんじゃん!」


「………」


「マサキが石橋組長を狙ってるなんて聞かれて、おまけに消されるかもしれないだなんて言われて!」


と、そこまで言ったところで、はっとした。


けれど逆にマサキの方が驚いた顔で、



「…それ、誰が言ったんだ?」


ヤバイ、と思った。


でも、時すでに遅く、彼は詰め寄るようにあたしの肩口を掴む。


無理にそれを振り払おうとした時、今度は揉み合った末にあたしの薄手のシャツがめくれ、腰のあたりがあらわになった。


スタンガンを当てられた場所が、赤紫の痣になっている。



「おい、ルカ!」


マサキはそれを見て、顔を歪ませる。



「これ、誰に何されたんだよ!」


「…やめっ…」


「なぁ、ちゃんと言えっつってんだろうが!」

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