潮騒
きっともう、あたし達は終わりに向かって突き進んでいたのだろう。


揺すられて、何かの形が壊れてしまったみたいに、あたしはその場に崩れ落ちた。


そして泣きながら、スミレさんが、スミレさんが、と繰り返す。



「あの女に、会ったのか?」


頭を上下させる。


マサキは悔しそうに壁をガッ、と殴り、唇を噛み締めた。


そして少しの沈黙を残した後で、彼はあたしと同じ目線の高さまでしゃがんだ。



「なぁ、ルカ。」


震えた声色。



「俺らはもう、一緒にいない方が良い。」


「……え?」


「これ以上一緒にいたって、お前が苦しむだけだから。」


心のどこかで予想していた言葉、なのに実際に言われるなんて思ってもみなかった。


マサキの瞳に、あたしが映る。



「俺はやっぱりどう考えたって石橋を許せねぇし、もう引けねぇから。」


「………」


「憎んでる親父と同じ、本物の人殺しになろうとしてるんだ。」


だからこれ以上はお前を巻き込めない、傍にいない方が良い。


彼はそう言いながら、そっとあたしを抱き締めた。



「ごめんな、ルカ。」

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