潮騒
「あの、探してる人がいるんですけど…」
おずおずと言ったあたしに彼は、「探してる人?」とまた、怪訝そうな顔で目を細めた。
「氷室正輝、ここにいますか?」
「………」
「マサキにどうしても会いたいんです!」
「………」
「お願いします、教えてください!」
男はじっとあたしを見据えた後で、ふと時計に目をやって、
「アイツ、いつ帰ってくるかはわかんねぇけど、死んでなきゃそのうち戻ってくるよ。」
「…え?」
「まぁ、生きてたとしても、ここに戻ってくるとは限らねぇけどな。」
「………」
「いっつもふらっといなくなって、ふらっと戻ってくるようなヤツだから。」
抑揚のない話し方をする人だと思った。
でもその内容からして、少なくともマサキはやっぱりここに生活の基盤を置いているらしい。
それがわかっただけでも大きな前進だ。
「じゃあ、ここで待たせてもらっても良いですか?」
「必死そうだねぇ。」
「どうしても、会って話がしたいんです。」
あたしの言葉に、彼はまた考えるように宙を仰いでから、
「アンタがアイツのこと救えるなら、会わせてやっても良いけどね。」
おずおずと言ったあたしに彼は、「探してる人?」とまた、怪訝そうな顔で目を細めた。
「氷室正輝、ここにいますか?」
「………」
「マサキにどうしても会いたいんです!」
「………」
「お願いします、教えてください!」
男はじっとあたしを見据えた後で、ふと時計に目をやって、
「アイツ、いつ帰ってくるかはわかんねぇけど、死んでなきゃそのうち戻ってくるよ。」
「…え?」
「まぁ、生きてたとしても、ここに戻ってくるとは限らねぇけどな。」
「………」
「いっつもふらっといなくなって、ふらっと戻ってくるようなヤツだから。」
抑揚のない話し方をする人だと思った。
でもその内容からして、少なくともマサキはやっぱりここに生活の基盤を置いているらしい。
それがわかっただけでも大きな前進だ。
「じゃあ、ここで待たせてもらっても良いですか?」
「必死そうだねぇ。」
「どうしても、会って話がしたいんです。」
あたしの言葉に、彼はまた考えるように宙を仰いでから、
「アンタがアイツのこと救えるなら、会わせてやっても良いけどね。」