潮騒
お昼は有名なご当地バーガーを食べた。


その大きさに驚きながら食べるあたしにマサキは、「何でそんなに食うのヘタクソなんだよ?」と呆れていた。


味のことなんて覚えていない。


ただ楽しくて、そればかりに気を取られていたから。


次に行ったサファリパークでは、ライオンの群れに興奮するあたしをよそに、マサキは「洗車したばっかなのにどうすんだよ。」と不貞腐れていた。


寄ろうかと言ったのはあたしじゃないのに。


それでもマサキは、お土産コーナーであたしにライオンのぬいぐるみを買ってくれた。



「まぁ、こんなんより俺の唐獅子の方が上だけどな。」


と、無駄に偉そうなことを言いながら。



「唐獅子なんて可愛げがないの、いらないし。」


「馬鹿にすんな。」


それでもあたしはありがとうと言った。


マサキはそんなあたしをじっと見つめ、何も言わずにふっと笑う。


時々そんな風な顔をする理由は、まだ聞けなかったから――。


博物館では恐竜の化石を見たし、電気屋では加湿器を買った。


とにかく目に着いた場所には片っ端から行ったし、思い付く限りのところに立ち寄った。


至るところで両手いっぱいの買い物をする所為で、車の後部座席はどんどん物が増えていくが、それもまた笑い話になっていた。

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