潮騒
散々遊び倒し、夕方くらいから結局は高速に乗って、やっと地元に戻ったのは夜になってからのことだった。


その頃にはすっかりクタクタになっていたけれど、それでも焼き鳥屋で乾杯をして、馬鹿みたいに騒ぎながら酒を飲んだ。


誕生日だ、誕生日だ、とあたしが連呼していると、店長さんがケーキをサービスしてくれた。


もしも明日世界が終わっても、きっとあたしは後悔しないんじゃないかと思う。


そうやって過ごしながら、あたしの家に到着したのは、誕生日も残り一時間となった頃だった。


抱え切れない荷物をふたりで運び、ドアを開けて電気をつけた。


数日ぶりの我が家だが、やはりここが一番落ち着く。


とりあえず水でも飲もうとキッチンに行ったところで、



「あ!」


そこに置かれているものを発見し、驚くままに声を上げてしまう。


テーブルに並べられていたのは、ワインのボトルとバラの花束だった。


添えられているバースデーカードには、レンと美雪、そしてカオルちゃんの名前が記されていた。



「お前のいとこには勝てる気がしねぇな。」


後ろからそれをひょいと奪ったマサキは、咥え煙草で笑っていた。



「ついでに冷蔵庫にも何か入ってたぞ?」


言われて確認すると、冷蔵庫の中心でデカデカと存在を主張している箱――大きなホールケーキまであった。


レンに渡していた相鍵が、まさかこんなことに使われるなんて。


それでもまた嬉しさを思い出し、ニヤけながらあたしは、



「ねぇ、ワインでもう一回乾杯し直そうよ!」

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