潮騒
眠れば完璧に魔法が解けてしまうことはわかっていた。
別れが待っているからこそ、最後の最後までマサキの腕の中にいた。
ぬくもりを逃がさないように、これからの長い夜をひとりでも強く過ごせるために、と。
だから重くなったまぶたに必死で抗おうとしていたのに、蓄積されすぎた疲労はそれを許してはくれない。
数日まともに寝てなかった上に、今日は一日中遊んで過ごした。
こうならないようにとはしゃいでいたのに、何だかそれがアダになったような気さえして、少しばかり悲しかった。
もっと言いたいことはいっぱいあったし、伝えきれなかったことばかりだ。
けど、でも、これは別れなんかじゃないから。
「俺らが幸せになるための、これは武者修行みてぇなもんだろ?」
手放しそうな意識の端で、マサキの笑いの混じる声が聞こえた。
あぁ、もうすぐあたしの“特別”が終わってしまうね。
「だから花嫁衣装で待ってろよ。」
今となってはそんな言葉すら、マサキが発したものなのか、それとも夢の中で聞いたものなのかはわからない。
だってあたしが眠りから目を覚ました時、そこに彼はいなかったから、確認のしようがなかった。
けれど、大丈夫。
きっとこれが本当の意味での始まりだったのだと思う。
長過ぎた夜が明けていた。
別れが待っているからこそ、最後の最後までマサキの腕の中にいた。
ぬくもりを逃がさないように、これからの長い夜をひとりでも強く過ごせるために、と。
だから重くなったまぶたに必死で抗おうとしていたのに、蓄積されすぎた疲労はそれを許してはくれない。
数日まともに寝てなかった上に、今日は一日中遊んで過ごした。
こうならないようにとはしゃいでいたのに、何だかそれがアダになったような気さえして、少しばかり悲しかった。
もっと言いたいことはいっぱいあったし、伝えきれなかったことばかりだ。
けど、でも、これは別れなんかじゃないから。
「俺らが幸せになるための、これは武者修行みてぇなもんだろ?」
手放しそうな意識の端で、マサキの笑いの混じる声が聞こえた。
あぁ、もうすぐあたしの“特別”が終わってしまうね。
「だから花嫁衣装で待ってろよ。」
今となってはそんな言葉すら、マサキが発したものなのか、それとも夢の中で聞いたものなのかはわからない。
だってあたしが眠りから目を覚ました時、そこに彼はいなかったから、確認のしようがなかった。
けれど、大丈夫。
きっとこれが本当の意味での始まりだったのだと思う。
長過ぎた夜が明けていた。