潮騒
希望を胸に
すっかり秋も深まり、寒さは増して、どちらかといえばもう冬なのかもしれない。
石橋組がどうなったのかなんて知らないし、スミレさんのこともわからないけれど、でももうそれで良い。
大事なのは、そんなことじゃないのだから。
あれからの毎日は目まぐるしかった。
見事にジュエリーショップの正社員になれたあたしにとって、日々は勉強で、だからテレビを観る暇さえなかった。
それでも、疲れ果てて眠りに落ちることが心地よかった。
充実しているという実感が嬉しかった。
だから三坂さんにはちゃんと会って、一緒に行くことは出来ないと謝罪した。
「ここで大切な人を待ち続けるって決めたんです。」
そう言ったあたしに彼は、わかったよと頷きながら、
「迷いのない目になったね。」
と、穏やかに笑ってくれた。
マクラをして過ごしてきた頃のことは変えられないけれど、でも今となっては糧になる。
どん底には、もう戻らないようにと踏ん張れるから。
マサキが武者修行の最中なんだとしたら、あたしだって負けてはいられなかった。
今度会った時に、驚かれるくらいの人間になっていたかった。
だって胸を張って「おかえり。」と言ってあげたいから。
そう思えば、冬の寒さだって乗り切れる。
迷うことなんてもう何ひとつなかった。
石橋組がどうなったのかなんて知らないし、スミレさんのこともわからないけれど、でももうそれで良い。
大事なのは、そんなことじゃないのだから。
あれからの毎日は目まぐるしかった。
見事にジュエリーショップの正社員になれたあたしにとって、日々は勉強で、だからテレビを観る暇さえなかった。
それでも、疲れ果てて眠りに落ちることが心地よかった。
充実しているという実感が嬉しかった。
だから三坂さんにはちゃんと会って、一緒に行くことは出来ないと謝罪した。
「ここで大切な人を待ち続けるって決めたんです。」
そう言ったあたしに彼は、わかったよと頷きながら、
「迷いのない目になったね。」
と、穏やかに笑ってくれた。
マクラをして過ごしてきた頃のことは変えられないけれど、でも今となっては糧になる。
どん底には、もう戻らないようにと踏ん張れるから。
マサキが武者修行の最中なんだとしたら、あたしだって負けてはいられなかった。
今度会った時に、驚かれるくらいの人間になっていたかった。
だって胸を張って「おかえり。」と言ってあげたいから。
そう思えば、冬の寒さだって乗り切れる。
迷うことなんてもう何ひとつなかった。