潮騒
「飯にはまだちょっと早ぇから、ドライブでもすっか。」
そう言ったレンは車を走らせ、辿り着いた場所は海だった。
昔はよく一緒に来ていたけれど、でも何だかんだでふたりでここに足を運ぶのは数年ぶりのことだ。
レンが夢を語っていた日が少しばかり懐かしい。
「久々だな、ここも。」
「全然変わってないから、何かあたし達だけタイムスリップしたみたい。」
「だとしたら、もうあの頃には戻りたくはねぇな。」
「でもあの頃のことがあったからこそ、今のあたし達がいるんじゃないの?」
未来は真っ暗闇だとばかり思っていた、今より少し幼かった頃。
けれどその経験こそが、今のあたし達を作り上げていると思ってる。
辛くて苦しくて、死のうとしたことすらももう、今なら“過去”として消化できるから。
「なーんて、現実は問題が山積みなんだけどね。」
「どうかしたか?」
「あの部屋、引っ越そうかと思ってるんだ。」
「何で?」
「もうすぐ契約更新だし、どのみち今のお給料じゃあの家賃はちょっと厳しいからね。」
そっか、と言って少し考える仕草をしたレンは、
「じゃあ、一緒に暮らすか。」
あまりにも事もなさげに言われたその頓狂な台詞に、あたしはぎょっとしてしまう。
けれどレンは笑っていた。
「寂しんぼのいとこ同士でルームシェアってのも、何か面白そうじゃんか!」
「はぁ?」
そう言ったレンは車を走らせ、辿り着いた場所は海だった。
昔はよく一緒に来ていたけれど、でも何だかんだでふたりでここに足を運ぶのは数年ぶりのことだ。
レンが夢を語っていた日が少しばかり懐かしい。
「久々だな、ここも。」
「全然変わってないから、何かあたし達だけタイムスリップしたみたい。」
「だとしたら、もうあの頃には戻りたくはねぇな。」
「でもあの頃のことがあったからこそ、今のあたし達がいるんじゃないの?」
未来は真っ暗闇だとばかり思っていた、今より少し幼かった頃。
けれどその経験こそが、今のあたし達を作り上げていると思ってる。
辛くて苦しくて、死のうとしたことすらももう、今なら“過去”として消化できるから。
「なーんて、現実は問題が山積みなんだけどね。」
「どうかしたか?」
「あの部屋、引っ越そうかと思ってるんだ。」
「何で?」
「もうすぐ契約更新だし、どのみち今のお給料じゃあの家賃はちょっと厳しいからね。」
そっか、と言って少し考える仕草をしたレンは、
「じゃあ、一緒に暮らすか。」
あまりにも事もなさげに言われたその頓狂な台詞に、あたしはぎょっとしてしまう。
けれどレンは笑っていた。
「寂しんぼのいとこ同士でルームシェアってのも、何か面白そうじゃんか!」
「はぁ?」