潮騒
ねぇ、マサキ。
あたしはお兄ちゃんが死んでしまったあの日からずっと、レンと共に生きてきたの。
悲しいからこそふたりで笑ってた。
だけど泣くことが出来たのは、いつだってマサキの前でだけだった。
あなたと出会い、本当の意味でのぬくもりを知った。
きっとそれは、お兄ちゃんが引き合わせてくれたのだと、今では思ってるの。
だから、待ってるよ。
マサキがマサキなりに過去と向き合って、前を向ける日を。
胸を張ってあたし達が一緒にいられる日を、いつまでも待ち続けています。
だからもう少しだけレンに甘えることを、許してね。
追伸。
いつか一緒に海に行こう。
あの頃、あたしの目に映る景色はいつだって白でも黒でもなく、グレーだった。
だって太陽の陽を浴びてキラキラと輝く水面が、あんなにも綺麗だなんてことにすら気付かずにいたから。
宝石みたいだと思ったなんて言ったら、笑うかな。
だから絶対、マサキにも見せたいんだ。
ねぇ、“潮騒”って知ってる?
END