潮騒
今日もこの店は、シャンデリアに灯され、フロアは煌びやかに輝いていた。
内装品になんて手を掛けない店舗が多い中で、ファンタジーはやっぱり高級品が揃えられている。
「ルカさーん!
特別にあたしのプリクラあげちゃいまーす!」
どうぞー、なんて笑顔の美雪。
あたしは苦笑いさえ浮かべられず、半ばそれを強引に押し付けられた格好になった。
「って、何か今日ちょっと変ですよ。」
「……え?」
「普段ならこういうの怒るのに、ホントどうしちゃったんですか?」
脳裏をよぎったのは、昼間のマサキとの出来事。
手首の古傷の理由を問われても、結局あたしは何も答えられないままだった。
普段と違う腕時計は、いつまで経っても馴染まない。
「別にちょっと調子悪いだけだから。」
「風邪ですか?
ならちゃんと病院行かなきゃだし、たまには仕事休んだってバチは当たらないでしょ。」
何があったって、仕事だけは休めない。
それはもうあたし自身に染み付いていて、まるで消えることのないこの古傷みたいだ。
「放っといて。」
と、突き放すように言ったのに、
「あ、じゃあ今度、あたしの通ってるフットマッサージのお店教えますよ!
すっごいリラックスして落ち着くし、疲れだって取れちゃうんですから。」
美雪はいつも動じることはない。
だから今日ばかりは、その奔放さに少しばかり救われる。
内装品になんて手を掛けない店舗が多い中で、ファンタジーはやっぱり高級品が揃えられている。
「ルカさーん!
特別にあたしのプリクラあげちゃいまーす!」
どうぞー、なんて笑顔の美雪。
あたしは苦笑いさえ浮かべられず、半ばそれを強引に押し付けられた格好になった。
「って、何か今日ちょっと変ですよ。」
「……え?」
「普段ならこういうの怒るのに、ホントどうしちゃったんですか?」
脳裏をよぎったのは、昼間のマサキとの出来事。
手首の古傷の理由を問われても、結局あたしは何も答えられないままだった。
普段と違う腕時計は、いつまで経っても馴染まない。
「別にちょっと調子悪いだけだから。」
「風邪ですか?
ならちゃんと病院行かなきゃだし、たまには仕事休んだってバチは当たらないでしょ。」
何があったって、仕事だけは休めない。
それはもうあたし自身に染み付いていて、まるで消えることのないこの古傷みたいだ。
「放っといて。」
と、突き放すように言ったのに、
「あ、じゃあ今度、あたしの通ってるフットマッサージのお店教えますよ!
すっごいリラックスして落ち着くし、疲れだって取れちゃうんですから。」
美雪はいつも動じることはない。
だから今日ばかりは、その奔放さに少しばかり救われる。