人魚姫は籠の中で。
そう思った瞬間、異様な気配と甘美な香りが微かに香ったのだ。
そこへ向かわないはずがない。
「…申し訳ありません。もっと厳重に選ぶべきでした」
「別にいい。あの女は上級貴族だから、ここまで潜り込めたのだろう…小賢しい」
つまらない世界だ。
媚びを売る者ばかりが溢れかえっている…
だが、何故か今は胸が高鳴るのを感じる。
自分が向かう方向に、何かを変えるきっかけがある…そう思うのだ。