人魚姫は籠の中で。
「…えぇ、そうですね。こんなマヌケには、もう用はないですよね?海に帰らせてください!」
「無理だな」
「ッ何でですか!?」
ハッと馬鹿にしたように笑い、流し目で私を見る魔王様。
流し目がかっこよくて、ドキッとしたのは…気のせいってことにしておきたい。
「そもそも用がなかったらお前を捕らえたりしない。わざわざ連れてきたのに、そう易々逃がすと思うか?」
そう妖しく笑った彼の瞳に見つめられると目が反らせない。