人魚姫は籠の中で。
そーっとドアを開け、きょろきょろと周りを見渡す。
「……ん?」
丁度右側にちょこんと座る真っ黒な生き物。
これって…犬?
いや、狼かな?
なんか大きいし。
その狼さんは私のことをじーっと見つめて動かない。
見つめ合うこと数分、この子は私に危害は加えないと確信した私は。
「わぁー、可愛い!初めて触るけど思ったよりふわふわしてるのね!」
抱きつく私の顔を数回ペロペロと舐め、すり寄ってくる。
「あなたどこからお城に入って来たの?私ね、バラ園に行くんだけど…一緒に来る?」