人魚姫は籠の中で。
「とても…怖かった」
自分で発した声は、か細く掠れていて。
言葉にすると、さっきの恐怖を思いだして体が震える。
だけど、ヴィアンが来てくれた、という安心感もあって、
「すまない。もっと早く着いていれば…」
そう言って、優しく抱きしめるから、涙を堪えきれることができない。
「セナ…泣くなよ。お前が泣くと、どうしていいか分からなくなる」
苦笑いを浮かべながらも、優しい金色の瞳を私に向ける彼を本当に美しいと思ったの…。