人魚姫は籠の中で。




そんな綺麗な彼をずっと見ていたくて、けれど、気恥ずかしくて。



「セナ…その瞳を他の奴には見せるなよ?」



「え?どうい…」



ヴィアンが言った言葉を聞き返そうと思い、発した言葉は最後まで言うことはできなかった。



目の前には、美しすぎるヴィアンの顔があって。


あまりにも近すぎる距離に、胸の鼓動が早すぎて、沸騰しそう。


どうすることもできなくて、ギュッと目を瞑った瞬間、


私の唇をペロリと舐めたヴィアンに、大げさすぎるほど肩をビクンと跳ね上がらせてしまった。

< 58 / 61 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop