恋愛依存症
一人暮らしの経験がない紀子には

誰もいない部屋で一人で寝るのが、

たまらなく淋しかった。


この布団も枕も亨の匂いがする。

部屋を見渡しても、亨との思い出のものや、

二人の写真、

カーテンも家具も、

食器に至るまで

全てに思い出が詰まっていて苦しかった。




いっそ、何も知らない所なら

ぐっすり眠れるんじゃないかと思った。


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