恋愛依存症
家の中はジャズ一色になった。


流れてる音楽も、

会話の内容も、

全てが音楽の話…


亨は毎日、自分の演奏の事で頭がいっぱいだった。


「必ずデビューして、ミュージシャンとして食べていけるようになるから」

「一緒に幸せを掴もう。頑張るから、今は淋しいけど我慢しててくれ」


亨はいつもそう言ったが、

30歳を迎えていた紀子は、3年前と何も変わっていない現状に、

ギリギリの経済状況で子供も考えられない生活に、


不安と焦りを感じていた。



それに、何よりも、

亨と一緒にご飯を食べたり、

一緒に眠ったりする時間が、

殆ど無くなってしまった淋しさに、

もう限界を感じていた。

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