恋愛依存症
シャワーを浴び、ベッドに入ると
朝からの疲れとお酒の力もあってかぐったりとしていた。

目覚まし時計は使わずいつものように携帯でアラームをセットして、かかってこなかった電話をかけた。

『もしもし』

『あぁ…。どう、そっちは?』

新鮮だった。たったのひと言が、恋人に戻った気がした。

『快適よ。そっちは?』

『これからバイトだよ』

『そっか、そんな時間か。気を付けて。私はビールも飲んだし眠れそう』

『そうか…良かったな。おやすみ』

こんな簡単な会話でも落着いた。
いつもより亨が優しく思えた。

紀子は久々のベッドでゆっくりと眠りについた。

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