王子様の下僕





「大丈夫だよ」

俺は意地になって一点張りしていると

とうとう愛美は諦めて
入学式に出ることを了承した

俺を気遣い、俺と同じ歩き方で
ゆっくり歩いてくれる愛美

そんな動作ひとつで俺は
こんなに暖かい気持ちになれる

まるで俺の求めていた家族みたいだ

この瞬間を噛みしめたくて
俺は愛美の冷たい手に指を絡めると

愛美は何も言わず
俺の手をそっと握り返してくれた





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