王子様の下僕
そう私の部屋はもぬけの殻だった
あるものは壁紙だけ
パニックに陥って泣いていると
"電話に出ろよ"と王子ボイス
もういい加減に慣れて電話に出た
「ひっ…く……もしもし…」
「大丈夫か?泣いているのか?」
「…なんで家具がないの?」
「さっき、業者に頼んで運んでもらってた
言うの忘れてたから電話した
今から帰ってこい」
「…もういきなり何なのよぉ
運ぶんだったら一言ぐらい言ってよね」
「ごめん、悪かったから泣くなよ」
「…っっ……すごく不安だったんだから」
「ごめんって」
「許さないんだから」
私が言うのと同時に
"ガチャッ"とドアが開く音がして
背中がぬくもりで温かくなった