Brute ―あいのうた、きみのうた―
いつからか、俺は捻くれてしまった。


大学受験も、就活も、いつも一番の望みを叶えてしまう香波。
それに比べて、すべて中途半端で、何もない俺。


虚無感。劣等感。敗北感。

そんなくだらないものを抱えて、俺は香波の言葉を素直に受け取れなかった。


とりあえずその場は適当な相槌をうって流してみせた。
しかしそうした思いは、すぐに消え去ってはくれなかった。
そしてそれ以上に、日々焦りとともに募っていきすらした。
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