Brute ―あいのうた、きみのうた―
それからというもの、隣の席の特権をフル活用した。


わざと教科書を忘れては、ひとつの教科書を一緒に見たり。
ノートを取り損ねた振りをしては、綺麗な文字のノートを写させてもらったり。
男と話しているところを見たことがなかった彼女に、来る日も来る日も話しかけたり。


向こうもいつも柔らかく、まるで小さな花がほころぶように笑いながら、俺の話に相槌を打ってくれていた。


これは脈ありなんじゃねえか、とか思っているうちに怒涛の冬休み、席替え、春休みという魔の3コンボが起きてしまった。
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