モテ男と地味女
転校生
学年も一つ上がり、クラスも変わった。
だけど、私の存在感の無さは健在のまま。
新しいクラスの担任が入って来た。

「今日から、このクラスの担任の佐倉だ。よろしくな。」
胡散臭いような笑顔を向けたのは若くてカッコいいと評判の数学教師。
「そして、今日からこのクラスの一員になる橘 礼音(たちばな れお)くんだ。」
黒板に書かれた名前と振り仮名を見て変わった名前だと思った。
でも、教室に入ってきた時になるほどねっと納得せざるおえなかった。
色素の薄い髪、緑の目。
「橘くんは去年までフランスで暮らしていたそうだ。分からないことも多いと思うから皆、仲良くしろよ。」
「「「はーい」」」
返事をしたのは大半の女子。
黄色い声が飛び交う教室。
まぁ、しょうがないか…
あの外見で、この経歴。

「初めまして、橘です。ちなみに母がフランスなので見ての通りハーフです。よろしくお願いします。」
「それじゃぁ、橘の席だが…」
「先生、私の隣が空いてます!!」
「やっぱ、学級委員の傍の私の席の隣がいいと思います。」
私の私のと手を挙げるクラスの女子。
別に興味もない私は頬杖をついて空が青いなぁなんて窓の外を見ていた。
このめんどくさいホームルームが終れば帰れるのになんて思いながら…
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