【掌編】さようならを教えて
両親の一回目の別居のとき。

彼らは、わたしに、選べといった。


子どものわたしに、父と母、どちらが好きかと聞いた。



なんて、残酷な質問だろう。

あれこれいったって、子どもは、どっちも好きなのに。

今よりもっと純粋で、何も余計なことをしらなかった子どもには、
とても、とても、選べないのに。


三人ではだめなのか。

だめだからきいているのだ。

理屈はわかっている。


だったら、独りがいい。

悩まずにすむ。

傷つかずにもすむ。


しかし、親は、答えを求めてくる。



だって、子どもだけでは、生活が出来ないからだ。
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