新選組は恋の香り―前編―
土方side


「動きがねぇな」

「副長…使いを走らせましょうか?」

「いや、いい。」



四国屋の近くの陰で俺らは
奴らの動きを見張っていたが
全く動きを見せねぇ。


「なあ、土方さん。」


少しイライラしていると
左之が話しかけてきた。


「葵羽を走らせるのは間違ってたんじゃねぇか?きっと…不定浪士の野郎が道端にいるに決まってるしよ」

「嗚呼、そうだな。」



確かにそうだ。
俺はどうかしていた…


くそっ


もし葵羽の身に何かったら
そう考えるとまたイライラが募っていた。


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