新選組は恋の香り―前編―
「平助?ご飯食べないのか?」
ずっとその場に立ち竦んでいると
飯の釜を持った一君が話しかけてきた。
…そんな気分じゃねぇつぅの。
そんな事言ったら一君は例のアレを
出すだろうし言葉を飲み込んで違う言葉を発する。
「いや。めっちゃめちゃ腹減ったから急いで行くって!!今日はみんなより沢山食うぞっ!!!!」
「……。」
一君が疑うような目をしていたことは気付かず俺は自分自身に言い聞かせるようにいつもより大きな声で言った。
まぁ、あとで土方さんに
『朝から騒いでるんじゃねぇぞっ!平助!!』
って言われた事は秘密だけどな。