新選組は恋の香り―前編―



「ちょっと、騒がしいですわよ。」


聞いたことのない声がした。
振り返ると
呆れ顔の…


「…男?」

「あ、葵っ!」


ポロッと口から零れ落ちた言葉は
禁句だったよーで…

平助くんが慌てたように
私の名前を叫ぶ。


「なに?男所帯だと聞いていたのに…
憎げな女がいるじゃないの。」


私が発した禁句はすでに
その男に届いていたようだ。

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