milktea
「あった!」

鉄柵の下に落ちていた。

傘を投げ捨てて地面に膝をつけて持ち上げようとしてもびくともしない。


周りの人の視線がすごく痛い




ストッキング破けるし

髪も化粧もぐしゃぐしゃだし

服もずぶ濡れだし

キーホルダ落としちゃうし


悲しくて涙がこぼれ落ちた。


















「お前傘もささんと何してんねん。」





見上げると眉を下げた翔君が私の腕を掴んでいた


「クマがクマが〜」


「クマがなんやねん。あ〜落ちてもうたん?」


「んん。」



涙と雨でぐしゃぐしゃになった私の頭を
ポンポンと優しくたたいて



翔君は簡単にクマのストラップをとって私の手に握らせてくれた。




「大切なもんなんやろ?もう落としたあかんで」


優しい翔君の言葉と自分の不甲斐なさに腹がたって余計涙が溢れだしてきた


もう泣くなや〜家まで送ったるから。な?」

「ッ…ん。」





翔君の大きな手の温かさが冷たくなった私の心を
ゆっくり溶かしていった
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