愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】
なんとなく、後ろめたくなって止まっていた手を動かして座布団を敷いていく。座布団が重く感じた。
「変なところ見せちゃってごめんなさいね」
「いえ……気にしないでください。気にしてないので」
そう。気にしてない。だって興味ないもの。
自分の事情で手一杯。他人のことに首を突っ込むなんて面倒くさい……。
「真梨ちゃんは、優しいのね」
……優しい? 冗談でしょ。他人のことなんてどうでもいい、なんて思う、あたしは冷たい人間だ。
「優しくなんて、ないですよ」
「そう? 人が触れられたくないところに触れない。それも一種の優しさよ?」
違う。あたしはただ、面倒くさいだけ。面倒くさいだけなんだってば。
「……そんなこと、初めて言われました」
「そう?」
ふふっ、颯のお母さんが笑う。
「……颯は」
「……え?」
急に声色の変わった颯のお母さんに視線を向ければ、さっきまで笑っていたとは思えないような泣きそうな表情をしていた。
「颯は、怒ってるわよね」
「…………」