愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】
大きな柱が二本、そこから道が分かれていて、あまり人が立ち入らない場所なのか、薄暗い。
なんとなく不安になって、戻ろうときびすを返す。
すると、ボソボソと人の話す声が聞こえて振りかえる。
分かれている薄暗い廊下をのぞき込むようにそっと見た。
「タカ……?」
大きな柱の陰に隠れるように、壁に右半身を寄り掛けているタカの後ろ姿が見えた。
その名を呼んだ、あたしの小さすぎる呟きは聞こえていないらしい。
左手にはスマホを持っていて、左耳にそれをあてている。
どうやら通話中らしい。
盗み聞きは趣味じゃない――そう、気づかれないように離れようと思った。
だけど、踏み出した足は止まってしまう。
「ふざけんなよ、親父……!!」
タカの絞り出すような、苦しげな怒声に、足が止まってしまった。
昨日の颯の怒鳴り声が頭の中で蘇る。
タカと颯の姿が被って見えた。