愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】
親父……タカのお父さんは、確か病院の院長さんだって、誰かが言っていた。
タカが怒ることは珍しくはない。
仲間思いのタカは、あたしたちが間違ったことをすると、いつだって怒って止めてくれる。
だけど今は、違う。相手はタカのお父さんだ。仲間じゃない、家族だ。
いや、こんなことを考えてる場合じゃない。
こんなところで電話してるってことは、タカはこれをきっと誰にも聞かれたくなかったはずだ。
早く、ここから離れないと……。
固まっていた足を、無理矢理動かす。
「は、勝手なことばっか言ってんじゃねーぞ。俺はあの人を母親だと認めた覚えはないからな」
早く、早く……。
そう思えば思うほど、足が言うことをきかなくて、無理に動かした両足はもつれて、あたしはお尻からすっ転ぶことになった。
――ドスン!
「いったぁ……」
お尻に走った鈍い痛みに、思わず声に思いが出てしまう。
転んだ音も相まって、タカがハッとしたようにこちらを振り返った。
タカが転んだあたしを視界に捕らえて、目を大きく見開く。
小さくため息をついて、あたしから目をそらした。