愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】
「お世話になりました」
旅館の出入り口、あたしたちを見送る颯のお母さんに、口々に言う。
この場にいるのはあたしと蓮、タカ、颯、菜穂。
隼は光たちと一緒に先に出て車に荷物を積んでいる。
昼が過ぎた炎天下の中、扉の外で騒ぐ隼たちの声が聞こえる。
それを背に、あたしも蓮の隣で頭を下げた。
「またいらっしゃい」
にこり、穏やかに微笑み言う颯のお母さんを見て、やっぱり複雑な気持ちになる。
「真梨ちゃんも。いつでもいらっしゃいね」
次来るときは、もっと違う気持ちになれるのだろうか。
こんなにも穏やかな人を、優しい人を、またあたしは怖いと思うのだろうか。
「ありがとう、ございました」
まっすぐ、優しく見つめる颯のお母さんの瞳から、逃れるようにもう一度頭を下げる。
もう、この人を怖いと思わなくなっていれば良い……そう思った。