愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】
母さんの葬式は、あまり良く覚えていない。
ただ、ナオがひたすら泣いていて、母さんがもういないことを理解できていないユウも共鳴するように泣いていて、俺はその泣き声を聞きながら、唇を噛んで、拳をぎゅっと握って、今にもこぼれそうな涙を堪えていた。
それだけが記憶に残っている。
その後、親父は母さんを失った悲しみから逃げるように仕事に打ち込み、家政婦を雇うようになった。その家政婦が由美さんだった。
由美さんは当時22歳で、母親を亡くし、父親にも構ってもらえずに寂しさを抱いていた俺たち兄弟に優しく接してくれた。
俺も、姉のように由美さんを慕っていた。
優しい由美さんは母さんを失って凍っていた親父の心も、いつの間にか解かしていった。
親父も家に帰ってくるようになり、姉のような由美さんもいて、俺は幸せだった。
母さんが亡くなってから、一番幸せを感じていたかもしれない。