愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】
「うーん、これだけ数があると迷うわね……」
隣でグレーのドレスを持った菜穂が言う。
蓮は難しそうな顔をしてマネキンが着ているドレスを見つめているし、大河と隼は露出の多いドレスを見てはしゃいでいる。
当のあたしも、何を基準に選べばいいのかわからなくなってきた。
「何かお探しですか?」
やってきた店員さんは、綺麗なお姉さん。人慣れしてそうな人だ。
笑顔ではあるけれど、女の人と関わることのほとんどないあたしはついつい警戒してしまう。
「えっと……」
「この子のドレスを買いに来たんですけど、どれが良いのかよくわからなくって……」
菜穂の言葉と視線に導かれるようにお姉さんの目がこちらを見る。
あたしの足の先から頭までを一通り見て、お姉さんが口を開く。
「お客様なら何でも似合いそうですけど……お好きな色やデザインはございますか?」
あたしを見る目に悪意はない。
後ろにいる派手な大河や隼が連れだってことはわかっているだろうに、特に気にした様子もない。
あたしは少しだけ警戒を解いて、口を開いた。