愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】
過去 -Hayate2-
【颯side】
8月26日、帝都ホテルに夜7時。
今はまだ17時。帝都ホテルへ行く前に、俺はある場所へ向かっていた。
目的地について、バイクから降りる。
広い庭に、たくさんの植物。
向日葵、マリーゴールド、アサガオ、桔梗。
他にもたくさんの花が咲いている。
小さい頃はよく、出たばかりの芽を踏み荒らして怒られたっけ……。
庭の奥にある建物を決して近づかずに見つめる。
暖かい色で彩られた、普通の家とは違う大きな施設。
そう、ここは俺が預けられていた施設だ。
物心つく頃まで、俺はここで育った。
親を知らずに、愛を知らずに、俺はここで育った。
「あら……? もしかして、颯くん……?」
驚きでびくりと体が揺れる。
振り返れば、見知った姿。
「園長先生……」
「ちょっと前に会ったのに、久しぶりな気がするわね……」
「いえ……」
気まずい雰囲気が流れる。
仕方がない。いろんなことが起こりすぎた。