愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】
似ている。アーモンド形の二重の瞳、高い鼻の形。
確かに、同じものだ。
だけど、一緒にいる男は俺の父親にしては背が小さい。
多分身長は170cmあるかないかぐらいだろう。
「颯……!」
駈け寄られて、女の人の小さな手が俺の両頬に添えられる。
「颯なのね……こんなに大きくなって……!」
感動したような女の人の瞳は、キラキラと輝いている。
だけど、俺は何も感じない。
だって俺は、この人の名前すら知らない。
「陽子、颯くんが驚いているよ。一度座ってゆっくり話そう」
「ええ、ええ、そうね。私、颯に会ったら言いたいことがたくさんあったの」
……俺には話すことなんて何もないよ。あんたの名前も初めて知ったよ。
言いたいけど、踏み止まった。
気を取り直して席に着く。
俺の前に陽子さんが座って、陽子さんの隣に男の人が座る。
「改めて、佐々木陽子(ささきようこ)です」